印刷業のラクスルの資本が入って、何かと調子の良さそうな、最近、話題のペライチのご紹介です。ペライチという名前からランディングページ(LP)を作成するサービスかと思ってましたが、小規模店舗向けのホームページ作成ツールといえるものでした。やはり2015年のサービス開始当初は、シンプルに1ページで自分の想いを伝えようというコンセプトで、ペラ1枚のWebページを誰でも簡単に作れるサービスとしてリリースされていました。
WixやJimdoのほか、WordPressの優良テンプレートもある中で、これだけユーザー数を伸ばせた要因としては、小規模事業者向けに割り切った仕様にあるのではないかと思います。クリエイターにとって、WixやJimdoなどのサービスは、すごく簡単なのですが、それでも難しいと感じる人は多くいました。テンプレートを使って、美しいページを作るのが、主流だった時に、簡単に情報発信できるというところに振り切ったサービスが受け入れられた理由ではないでしょうか。
実際に、使用してみると、出来ることが限定されすぎて、私なんかは物足りなさを感じました。「もっと、こうしたら美しくなるのに」と思うことも多いのですが、パーツを配置した後、調整できることがあまり多くありません。もしこれが、クライアントからの依頼で、既にデザインを決めていた後だったとしたら、サービスの選択からやり直すことになるでしょう。
しかし、このデザインの制約が逆に、下手なデザインを許さないということにつながっています。誰でも、ページが作れるというサービスとしては、良い方向に転がる可能性を残すよりも、悪いようにならないようにすることが大事です。「少し触ったらレイアウトが崩れてしまった」ということになったときに、サポートしてくれる人がいない場合、挫折してしまうことがあるからです。
ペライチは、小規模事業者向けに焦点を絞ったサービスになっており、概ね、5人以下の会社をターゲットとしているようです。この規模だと、日々の業務に忙しく、情報発信は二の次になっているはずです。個性は、だせないけど、必要なことが簡単にできるというサービスはこの層にピッタリはまります。
現在は、最高のビジネスプランで、月額3,278円、最大20ページ作成できます。このページ数あれば、企業のホームページのページ数としては、十分です。
ペライチの最大の特徴として、決済機能と予約機能があげられると思います。この価格設定で、この2つの機能があることは、お得感があります。両機能とも非常にシンプルではありますが、ポイントは押さえた機能になっており、アップデートも続けられています。
決済機能については、ちょっとしたカート機能も備えていて、配送料金の設定もできるので、手軽にECサイトをはじめるには、十分だと思います。商品が数十点あったり、ECだけで本格的に売り上げを立てたいというのであれば、管理の面で他のECシステムをおすすめしますが、他にメインの販売ルートがあって、オンラインでの販売ルートを確保したいという目的には、マッチします。手間をかけない運営であれば、このくらいの機能がちょうどよいと感じます。
予約機能も同様に、手軽です。日付と時間を選んでもらう形なので、美容室や教室運営などの予約に適してると思います。グレードによって金額が変わったり、オプションを選んでもらうようなサービスには使いにくいのではないかと思います。宿泊業で使えるかなと考えてみましたが、そういう用途には難しそうでした。
ペライチでは、ユーザー支援に力をいれていて、「ペライチサポーター」や「ペライチ大学」といったサービスがあります。ペライチサポーターは、ペライチの使い方をよく分かっている人に、相談できる機会をつくろうという取り組みです。『ITの利活用ができずに困っている方々から信頼され、その方々の住む地域と人々を成長と幸せに導く』というミッションの実現のための制度です。
ペライチサポーターには、認定試験があり、それに合格するとペライチサポーターとして活動できます。IT知識をつかって収入を得たいという方がサポーターとして登録しています。相談にのったり、コンサルティングをしたり、セミナー講師をしたり、制作代行といった形で仕事ができます。ペラナビ(https://navi.peraichi.com)というクラウドソーシングのようなサイトがあり、そこで集客することもできます。
ペライチサポーターが人の手を介したサポートであったのに対して、オンラインで情報を得ることができるのが、ペライチ大学です。ペライチの使い方に関する情報だけでなく、マーケティングや技術的な話題など、ペライチユーザーに役立つ情報が幅広く掲載されたブログが運営されています。